三京商会を知ったのは楽天で安い順で財布をリサーチしている時。
低価格の無名ブランドでも「掘り出し物が無いかな?」と探していました。
2万円以下の長財布で、キチンとした革を使っている財布はほぼ無かったのですが、唯一あったのが三京商会のコードバン長財布でした。*下記リンク
初見は、聞いたことのない怪しいブランド名に加え、長いセールス文&妙な安さで怪しさ満点でしたが、物自体はいたってまともです。
皆さんも同じ印象で「なんで安いの?」と思われ、ここに辿り着いたのだと思います。
と言うことで三京商会にある大量のクロコ財布を分析して“安さの理由”がわかりました。
結論から言うと特に怪しい点はないですが、細かいコストダウンで違いが分かりづらい印象です。
主な安い理由は下記3つの要素です。
- ①生産背景でのコストダウン
- ②商品スペックでコストダウン
- ③独自の流通経路でコストダウン
違いが細かいので少し長いですが、詳しく解説します。
全てに理由があるので一通り読めば、納得できる財布が選べると思います。
ここで注目している項目は他のメーカーのクロコの財布を見る時のチェックポイントにもなります。
➡【三京商会】楽天で評判の良いクロコダイル財布42種★形状別まとめ
①生産背景でのコストダウン
生産背景で考えられるコストダウンは3つ
- 生産地(国)でのコストダウン
- 生産量でのコストダウン
- オリジナルブランドで直接発注。
1.生産地の使い分けでコストダウン
クロコダイルの財布といえば、財布の中でも最上級の素材です。
一般的なブランドでは特別ラインで縫製工場も最上の「日本」になり、どんどんコストはかさみます。
三京商会では日本/韓国/ベトナムと工場を使い分けることでコストダウンを図っています。
2.生産量でのコストダウン
高価なクロコ製品でメンズ/レディースともに大量の商品数を展開していて、欠品も少ないので相当な数量を作られているのがわかります。
これだけの生産量と長年の工場との付き合いからコスト交渉や、コストダウンの細かいツメがおこなわれてると思われます。
3.オリジナルブランドで工場に直接発注
三京商会には複数のブランドがありますが、ほとんどがオリジナルブランドで直接工場に発注されています。
自社工場ではないのもポイントで価格交渉の余地があります。
②商品スペックでコストダウン
項目ごとで細かくコストダウンの段階があります。
三京商会の製品の高い製品と安い製品の違いは、商品ページだけを見ても違いがわかりづらいです。
クロコ財布の基本的な知識をもとに複数の商品ページを見比べると違いがわかります。
下記、項目ごとのランクをまとめました。各項目で上段ほどコストが高く高品質になります。
– | Aクロコ種 | Bタンナー | C裁断 | D製造国 | E内装 | F仕上げ |
---|---|---|---|---|---|---|
高価 | ポロサスクロコ | ヘンローン社 | センター取り | 日本 | 無双(クロコ) | シャイン |
⬆ ⬇ | ナイルクロコ | フランスタンナー | 一枚革 | 韓国 | パイソン/牛革 | マット |
安価 | 記載無 | 記載無 | 切り替え | ベトナム | 合皮/生地 | – |
ポイント | 希少性 | 表情 | 美しさ | 精巧さ | こだわり | 好み |
それぞれの項目ごとのご自身のゆずれないポイントをハッキリさせておけば、商品選びで迷いません。
Aクロコの種類
(ポロサスクロコ/ナイルクロコ/記載なし)
三京商会のクロコは全て本物でワシントン条約に準拠し、適正に輸入されています。
ちなみにクロコは高価で美しいだけではなく、非常に丈夫です。図は、右から強い革の順番です。
一般的には哺乳類系よりも爬虫類が強いです。身を守るために繊維が密になりまさに鎧。
その中でもクロコダイルは別格で牛革の10倍ほど強いといわれています。
そんなクロコの中にも種類がありますが、ワニ革でもクロコダイルとよべるのは左の4種のみです。
下記はクロコメーカーで撮らせてもらった写真。種別以外にも個体差や仕上げの差もあるので見分けるのは難しいです。上段4つはクロコと呼べる4種です。
中でも最高峰はポロサス種で有名なH社が主に扱っているクロコもポロサスです。
クロコは竹斑(一つの模様)が小さいほど良いとされポロサスの斑が一番小ささいです。財布に使われるクロコダイルはポロサスかナイルが多く表記があります。
詳しくは全日本爬虫類皮革産業協同組合様のHPで写真付きで解説されています。
*安いものはほぼ型押しでもちろん別物です。
三京商会のクロコの安いものにはクロコの”種類”の記載が無いものがありますが、クロコの表記があるものは本物なので安心してください。
商品では一部アリゲーター表記もあるので、もちろんクロコとの表記はしっかり分けてあります。
Bタンナー(革の製造国)
(ヘンローン社/フランスタンナー/記載なし)
インポートらしいキレイなカラー
クロコ製品の印象を大きく左右するカラー。三京商会ではインポートのクロコが多いのも特長で、キレイな色が多いです。
有名ブランドの“インポート製品らしさ”は色の印象が大きく、ベーシックカラーでも絶妙なムラ感のある染めで雰囲気が全く変わります。
【ヘンローン社】
クロコダイル原皮の産地である東南アジアに位置するシンガポールのタンナーです。世界中の名だたるブランドにも納入しているため色出しもうまく、中間色のキレイさは抜群です。
【フランスタンナー】
フランスのタンナーでこちらも鮮やかなカラーが特長です。
【記載なし】
タンナーの記載の無い革もありますが、上記2つのインポート革や、レディースの扱いもあることで、三京のオリジナルの色出しはキレイです。
C裁断(革の使用部位)
(センター取り/一枚革/切り替えあり)
最も贅沢なのは「センター取り」「一枚革」
三京商会の多くの長財布や二つ折り財布が「センター取り」「一枚革」です。
「センター取り」革のどこを使うかですが、左右対称の一番キレイな真ん中から取とります。
「一枚革」財布の表革に切り替えの入らない取り方で、一枚のクロコでひとつしか作れない贅沢な使い方です。
三京商会の小さい財布や、安い財布では切り替えやあまり革を使ってコストダウンが図られています。
高級ブランドは基本はセンター取りですが、安いブランドはそうでない物も多いので見るべきポイントです。
D製造国(縫製)
(日本製/韓国製/ベトナム製)
精緻な職人技が光る日本製が最高峰。
縫製技術や品質管理では日本製が最高峰だと思います。
コストで行くとそれ以外の工場が考えられますが、三京商会では韓国とベトナムも使いわけています。
国民性もあるのでどこで作るかも大事ですがそれ以上に、工場との関係性やどれくらい指導できるかも大きく品質に影響します。海外工場でも日本メーカーと取引があると品質が日本基準になります。
もちろんすぐ高品質になるわけではなく、長い年月での付き合いでの基準のすり合わせで品質が徐々に上がります。
三京商会は50年以上支持され続けるということは、口コミや評価を見てもわかるように品質が保たれているということです。
【日本製】革小物の縫製の最高峰。職人技は精緻で品質管理も徹底しています。
【韓国】昔から革製品が有名で、コスパもいいです。
【ベトナム】関税面でも優遇されているASEAN地域なのでその分のコスト減が見込めます。
E内装
内側に使う材質でもコストコントロールされています。
【無双仕立て】内装にもクロコを使う贅沢な仕様。
【パイソン】同じくエキゾチックレザーの蛇革がアクセントに使われています。
【牛革】一般的な材質です。
【合皮/生地】小物や裏地で使われる最も安価な材質です。
F仕上げ
(シャイン仕上げ/マット仕上げ)
クロコらしい光沢加工は瑪瑙でこすることでできる天然の光沢。
見た目の好みですが、シャイン(グレージング)仕上げのほうが手間がかかりコストは掛かります。
【シャイン仕上げ】艶をつけるシャイン(グレージング)加工。クロコは繊維が非常に密なため強力な圧でこするとツヤが出ます。
③独自の流通経路
中間の流通コストを大幅にカット
そもそもの商売形態での中間マージンのコストダウンは図られています。
下記はHPでの安さの説明です。特段、新しくは無いですがこれにより基本のコストは下がっています。
【安さの理由】
小売店は商品がお店に並ぶまで、必然的に中間マージンや、流通コスト(運賃)などが発生してしまうため、どうしても販売価格が上がってしまいます。
しかし当店の場合は製造工場やメーカーと直接取引しているので、商品が直に当社の倉庫へ納品。
今まで掛かっていた中間マージンや流通コストを大幅にカットできます。
三京商会はなぜ安い?まとめ
値段が魅力的でネット上で目にする三京商会。
安さのあまり「あやしい」「なんで安いの?」といった疑問の裏側を説明しました。
まとめると主な要因は下記3つです。
- ①生産背景でのコストダウン
- ②商品スペックでコストダウン
- ③独自の流通経路でコストダウン
「生産背景」と「流通経路」の基本のコストダウンは企業努力で実現していて、値段に合わせた「商品スペック」での細かい調整も見られました。
決して怪しい値段ではなく、全て本物のクロコの財布です。品質面では要所は押さえながら、価格を抑えたコスパの良い商品であると言えると思います。
なにより、インポート革の色合いや質感は品質面では重要で雰囲気があってオススメできます。
別記事で、楽天上で三京商会の評判の良いクロコの商品だけをまとめた記事も書きましたので参考にしてみてください。
MARU
コメント